作品紹介

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2021年入選作品一覧

放送局部門

忘れてはいけないこと
~認知症受刑者が問いかけるもの~

岡山放送

プロデューサー:太田和樹
ディレクター:岸下恵介

受刑者400人余りを収容する岡山刑務所。半数以上が無期懲役の受刑者で生命犯が大半を占める。塀の中では4人に1人以上が65歳以上の高齢者で、高齢化が問題になっている。特に深刻なのは受刑者の認知症だ。法務省が2015年に全国で行った認知症を調べる簡易検査では、60歳以上の受刑者のうち、認知症傾向のある受刑者は約14パーセント、全国に約1300人いると推計されている。岡山刑務所には予備軍を含め認知症受刑者が約20人いるという。80代前半の受刑者は数年前に認知症と診断された。殺人などの罪で無期懲役。年齢が分からないだけでなく、自分がなぜ刑務所にいるのか思い出せない。刑務所は認知症受刑者とどのように向き合っているのか。

NNNドキュメント’21
「毒ガスの痕 広島 ウサギ島の記憶」

広島テレビ放送

プロデューサー:岡田純一郎
ディレクター:渡邊洋輔

1941年、藤本安馬さん(94)は14歳で大久野島の陸軍養成所に入り、3年間毒ガスの製造にあたった。作られた毒ガスは中国で使用したとされるが日本軍の資料は戦後焼却されており、記録はほとんど残っていなかった。
取材を進めるうちに元兵士が個人保管していた、岡山歩兵部隊の報告書を発見した。報告書には中国・河北省の北坦村で、地下道に毒ガスを投げ入れたと記されていた。
毒ガスで家族を失った中国の遺族は、今も抱える悲しみの思いを語った。
一方で、毒ガスを使用した元兵士たちもまた戦後、自らの行為に苛まれ、苦悩していた。
毒ガスを造った人、使った人、使われた人。
毒ガスは勝者を生み出すことなく、傷痕だけを遺した。

ネアンデルタール人は核の夢を見るか
~高レベル放射性廃棄物の行方~

北海道放送

プロデューサー:山崎裕侍
ディレクター:山崎裕侍、澤出梨江

原子力発電所から出る高レベル放射性廃棄物、いわゆる核のごみの最終処分場選定にむけた文献調査が進む北海道寿都町。国から最大20億円の交付金が支給されるが、寿都町の住民には国や町の決め方に対する根強い不信がある。核のごみは地層処分を前提としているが、人体に影響がない放射線量のレベルに下がるのは10万年後とされる。番組では核のごみによって分断されていく町民や、人生を大きく左右された男性の姿を描く。
1980年代に秘密裏に行われた処分地の調査や元研究員の証言を取材するとともに、最終処分場の適地をめぐる新たな動きも伝える。
「10万年後は安全なのか」
処分の実施主体であるNUMOトップや複数の科学者に取材し、多面的に検証する。

ETV特集 “焼き場に立つ少年”をさがして

NHK長崎放送局

プロデューサー:山中賢一
ディレクター:渡邊英資、川端亜希

被爆後の長崎で、米軍カメラマンが撮影した写真「焼き場に立つ少年」。唇をかみしめた少年が、息絶えた弟を背負い、まっすぐに前をにらんでいる。ローマ教皇は「戦争がもたらすもの」とメッセージを添えて世界中に配布した。この少年は誰なのか。原爆が投下された焼け跡で、どのように生き、どのような思いを抱えていたのか。番組では、米国立公文書館に残る4000枚の写真を調査。「焼き場に立つ少年」の写真をカラー化・3D立体化して、少年の被爆状況や写真が撮影された場所に迫った。さらに、被爆後の町に残された孤児たちの戦後を取材し、食糧も住居もない極限の日々で肉親を失っていく子どもたちの過酷な人生を描いた。

永遠の平和を あるBC級戦犯の遺書

RKB毎日放送

プロデューサー:児玉克浩
ディレクター:大村由紀子

1945年、日本はポツダム宣言を受諾し敗戦した。宣言の中には「戦争犯罪人を処罰する」ことが盛り込まれていた。福岡県出身の藤中松雄は、BC級戦犯として1950年4月、スガモプリズンで処刑された。28歳で命を奪われた松雄は妻や幼い二人の息子に21枚、7千字の遺書を残している。松雄は、終戦の年の4月、沖縄県の石垣島で米兵捕虜3人の処刑現場に立ち会っていた。松雄の次男、孝幸さん(74)は、そこで何が行われ、父がどう関わったのかを知らなかった。父の死から70年経って、法廷での父の姿を初めて見た孝幸さん。そして、アメリカと日本に残る公文書から、孝幸さんが知らない事件と裁判の真実が次々と明らかになる。

裸のムラ

石川テレビ放送

プロデューサー:米澤利彦
ディレクター:五百旗頭幸男

「無症状の方は石川県にお越しいただければ」。現職最長7期目の谷本石川県知事は失態を繰り返し、長期県政に蔓延する驕りや忖度がさらけ出された。
金沢市の松井誠志さんはインドネシア人の妻との結婚を機にイスラム教徒になった。根拠もなくイスラム過激派との関係を疑われ、差別を受けてきた。彼は「コロナ差別を受ける人の気持ちが分かる」という。
石川県穴水町に移住した元ソニー広報の中川生馬さん。自宅はあるが、車で場所を変えながら仕事をするバンライファーだ。中川さんの移住後、穴水町には自由を求める人たちが次々と訪れるようになった。小さな村に渦巻く自由をめぐる葛藤や矛盾。それは人生、家族、常識とは何か。問い直してくる。

おいてけぼり【9060家族】

中京テレビ放送

プロデューサー:吹上直裕
ディレクター:森葉月

92歳の父と暮らす娘・敬子53歳。35年自宅にひきこもっています。
この家にはもう1人“ひきこもり”が。ギャンブルとタバコにふけり、自室に閉じこもる兄。
生活は困窮を極め、思いつめた父は自殺未遂を図り、『自分の子だからこそ殺したくなる』こう語りました。
一方の敬子さんも『社会の荷物だと分かっている。でも社会が怖い』。葛藤する2人の言葉から、当事者や家族が社会との接点を一度喪失すると元に戻すのは困難な現状が浮き彫りに。そんななか「お父さんが亡くなった」という突然の電話。今まで部屋から出てこなかった兄が口にした「働かなくてごめんなさい」の言葉。
2年に及ぶ取材から“おいてけぼり”を減らす方法を考えました。

SBCスペシャル まぼろしのひかり
~原発と故郷の山~

信越放送

プロデューサー:手塚孝典
ディレクター:湯本和寛

原発の夢を追った人が、長野市にいた。4年前に取材した増田哲将さんは、かつて福島第一原発の副所長を務め増設を進めた。その証言を手掛かりに双葉郡の関係者を訪ね、原発推進の知られざる実態に迫る。一方で、夢の代償を負わされ続ける人たちがいる。岩間政金さんは、戦後、長野県から葛尾村に入植したが、原発事故で故郷を追われた。いまも帰還困難区域として立ち入りが規制されている集落の住民もいる。浪江町の今野義人さんは、住民の声を集めて記録誌を作っていた。「百年は帰れない」と言われた故郷を後世に伝えたいと願っている。この10年で何かが解決したわけではない。国策に翻弄された人々が語る歴史と今を見つめる。



ケーブルテレビ部門

戦後75年目の懺悔
-私は教え子を満州に送った-

伊那ケーブルテレビジョン

プロデューサー/ディレクター:伊藤秀男

今年97歳になる南箕輪村の三澤豊さん。
青年学校教師として満州に教え子を送りだしたことを今でも悔やんでいる。
義勇軍送出日本一の長野県。
教師に満州行きをすすめられた多くの証言を交えながら、その背景と三澤さんの戦後75年に迫る。

丸裸温泉街

キャッチネットワーク

プロデューサー:上西将寛
ディレクター:山田進一、上西将寛

愛知県西尾市にある観光地「吉良温泉」。三河湾を望む年間14万人が訪れる景勝地です。しかし、新型コロナによりこの温泉街も例に漏れず大打撃を受ける事に。これまで観光客の多くを占めていた外国人観光客はもちろん、団体客が途絶え、多くのホテルが開店休業の状態に。さらには集客の“命綱”となっていた恒例の一大イベントにもその影響が…。これまでこの温泉街を支えていた衣が一つひとつ剥がされてゆきました。
未だ収束の兆しが見えないなか、外国人観光客、団体客が途絶え、観光客を呼び込むために出来ることは何か?そもそも自分たちの温泉街の魅力とは何なのか?
コロナ禍を生きる吉良温泉の一年を追いました。

英語で語る93歳の被爆体験

長崎ケーブルメディア

プロデューサー:大野陽一郎
ディレクター:深松のぞみ

18歳で被爆し、93歳となった今もなお現役の語り部として活動する男性がいます。長崎師範学校の学生だった築城昭平さんは、爆心地から1.8kmの距離にあった学校の寮で被爆しました。大けがを負いながらも奇跡的に一命を取りとめ、教員になる夢を叶えた築城さんは、仕事の傍ら、被爆体験の語り部活動を熱心に続けてきました。そんな築城さんが90歳を越えてから挑戦し始めたことがあります。それは、被爆体験を英語で語ること。自分の言葉で、世界中の人に戦争の悲惨さと平和の尊さを伝えたい。その一心で英語を学んでいます。そんな築城さんのそばには、頼もしい英語の先生の存在が。長崎から世界へ、二人三脚で挑む二人の平和への思いを見つめます。

からくり人形師

大垣ケーブルテレビ

プロデューサー/ディレクター:黒木幹大

日本に数人しかいないとされるからくり人形師、その一人が岐阜県大垣市にいた後藤大秀さん。今回、復元の依頼が入ったのが大垣市十六町で発見されたからくり人形。昭和初期までは動いていたと言われている人形です。町の人たちも見たことがないからくり芸を復活させるプロジェクトを進めている中、後藤さんは体調を崩し亡くなってしまいました。大垣ケーブルテレビでは、最後の仕事となった制作現場を1年間取材。「なぜ90を超えても現役で仕事を続けているか?」「からくり人形師という仕事に何が見えるのか?」日本のものづくりを支える職人の姿を、後藤さんの技と人柄から描きました。

成東駅列車爆破
~終戦2日前の惨事~

広域高速ネット二九六

プロデューサー:藤本健太郎
ディレクター:萩谷智弘

太平洋戦争終戦2日前の午前11時40分ごろ、米軍機が成東駅(現在の千葉県山武市)に停車中の弾薬を満載した貨物列車を機銃掃射し、18分後に大爆発。爆発の被害から駅舎や民家を守ろうと懸命に貨物車を切り離そうとした駅員、将兵42人の命が奪われた。その中には18歳、17歳、16歳、15歳、そして14歳という現在の中学生から高校生ぐらいの少年少女も多数含まれていた。
75年前の夏、なぜ成東駅の列車が狙われたのか。苦悩しながら戦後を生きた数少ない生き残りの駅員、そしてそれを語り継ごうとしている遺族の姿を通して終戦2日前に起きた惨劇に迫る。

壮観劇場 切り拓け!天空への一本道

ケーブルテレビ富山

プロデューサー:森田隆、日笠昭彦
ディレクター:小泉光瑠

北アルプスの春。高さ20mに迫る巨大な雪の壁に挟まれるように観光バスが行く「立山黒部アルペンルート」。雪に覆われた山岳地帯の中のバスルートは、誰がどのようにして造り上げるのか。使命感を持って厳冬期の立山を切り拓く13人の除雪隊員の姿を追いました。誰も見たことのない厳冬の景色とともに描いた除雪ドキュメンタリー。

ながさき原爆記録全集 映画
「広島・長崎における原子爆弾の影響」
検証編

長崎ケーブルメディア

プロデューサー:大野陽一郎
ディレクター:吉村あきお

長崎ケーブルメディアでは「ながさき原爆記録全集」として、日本3大原爆フイルムと呼ばれる3つのフィルム、「米海兵隊フィルム」、「米国戦略爆撃調査団フィルム」、日本映画社撮影の「広島・長崎における原子爆弾の影響」を、解説付きで全カット紹介してきました。その中で、日本映画社の「広島・長崎における原子爆弾の影響」は、日本人が撮影し、日本の科学者が解説を加えた、純粋に日本人が制作した唯一の原爆被災フィルムです。しかし、その制作の裏には様々な困難と物語が秘められていました。制作に隠された物語を紹介します。

けーぶるにっぽん 彩・JAPAN
「甦らせる・被災地の写真洗浄」

倉敷ケーブルテレビ

プロデューサー:堀川久志
ディレクター:岡村祐紀

平成30年西日本豪雨災害で岡山県倉敷市真備町は4分の1が泥水に浸かった。被災者の大切な思い出写真を救おうと被災直後に真備町で写真を洗浄するボランティア団体が立ち上がり、現在も活動を続いている。団体は1枚でも多く写真を甦らせようと一軒一軒訪問する活動をはじめる。そこで出会った被災者の一人は諦めしまいこんでいた写真を出し、洗浄方法を教わりながら自ら洗浄する。作業を進めていくにつれて男性の中で様々な思い出が甦っていく。また亡き息子の遺影写真を依頼していた夫婦は、戻ってきた遺影を手に写真洗浄の持つ大きな力に気付かせてくれる思いを話す。



市民・学生・自治体部門

沼山からの贈りもの

アウトクロップ

プロデューサー:栗原栄見
ディレクター:栗原栄見、松本隆慈トラヴィス

秋田の食卓に並ぶ伝統料理「いぶりがっこ」。その伝統を産み、支えたのは日本一美味しいと謳われた幻の大根「沼山大根」であった。一度途絶えたその大根の目を覚まそうとしている三人の男達はどんな想いを抱いているのか 。彼らにとってその大根は、近代化で変化し続ける農業の有り方、そして現代の私たちの生き方を問い直させてくれる大切なものであった。「沼山からの贈りもの」はそんな幻の大根を追求する男達の熱き記録である。

秘話 ~「知覧」にある米兵慰霊碑~

中央大学松野良一ゼミ 佐藤仁紀

プロデューサー:松本弥彩暉
ディレクター:佐藤仁紀

鹿児島県南九州市知覧町。かつて、ここには特攻作戦の最前線基地があった。陸軍特攻戦死者1036人の内、約半数にあたる439人が、知覧飛行場から出撃し戦死した。戦後、飛行場跡地に設置された知覧特攻平和会館には、特攻隊員の遺書・遺品等が展示されている。年間を通して、全国から多くの見学者が訪れる。そんな特攻の地「知覧」の片隅に、なぜか、米兵を弔う慰霊碑がひっそりと建っている。なぜ「知覧」に、かつての敵国兵士を慰霊する碑があるのか。私たちは様々な関係者に取材し、慰霊碑建立の背景にある謎を追った。

小さな命の意味
~大川小 語り部10年~

椙山女学園大学 栃窪ゼミ

プロデューサー:栃窪優二
ディレクター:宇治原千尋、栃窪ゼミ・学生10人

東日本大震災で児童74人と教職員10人が犠牲になった石巻市立大川小学校。名古屋にある女子大ゼミが次女・みずほさんを亡くした語り部・佐藤敏郎さんを継続取材した。佐藤さんは「この命に意味づけをしたい」(2014年)、「未来にとって意味のある出来事にしたい」(2016年)と、小学校で何が起きたのか語り継いでいる。仙台高裁の確定判決では「大川小学校は防災マニュアルで避難場所を決めていなかった」と厳しく指摘された。震災から10年が経過、なぜ児童・教職員が裏山に避難しなかったのか、その疑問に答える事実が浮き彫りになった。佐藤敏郎さんは震災10年を「たどり着いたと思ったらスタートラインだった」と振り返る。

あの日、ニレの木の下で

稚内北星学園大学 樺太プロジェクト

プロデューサー/ディレクター:伊藤龍哲、髙田康生、
戸塚竜史、麓優太、緑川大海

終戦直後、樺太北部の町、恵須取は旧ソ連軍の攻撃により戦禍に見舞われていた。住民たちは逃げ惑い避難を始めたが、恵須取町太平炭鉱病院に勤務する23名の看護師たちは患者の命を守るために最後まで町に残ることを選んだ。しかし、患者の手当てを終え、看護師たちが避難を開始した時には、すでにソ連軍が目の前まで迫っていた。「どこに行っても駄目なんだ」。遂に彼女たちは自らの純潔を守るために自決を選ぶ。この出来事は太平炭鉱病院看護師集団自決事件と呼ばれる。なぜ、彼女たちは死を選ばざるを得なかったのか。運良く生き残った元看護師の手記と証言から、事件の全容を解き明かしていく。

ねえ 私のこと、どう思う?

上智大学水島宏明ゼミ 中村未歩

プロデューサー/ディレクター:中村未歩

「私はどう思われているのだろう。」そう口にするこの作品の主人公である女性は、20歳という若さでうつ病を患っている。埼玉県北本市、田んぼと畑が広がる閉鎖的な田舎町。高校生の時にうつ病と診断され、通っていた高校を辞めた。取材中にもアルバイトに挑戦したが、うつ病によって長くは続かなかった。そんな自分の不甲斐なさに落ち込む彼女を見て、彼女の両親は涙を流しながら言う。「大丈夫。何があっても大丈夫。」命を絶とうとした過去を持つ彼女は、周りの人に支えられながら今を一生懸命生きようとしている。今まで何度も病気によって将来の夢を断念してきたが、最後に語るのは自分に合った未来への希望だった。

ルソンの祈り
~順子ちゃんの戦場をたどって

法政大学別府研究室

プロデューサー:別府三奈子
ディレクター:トウ・アナン、木下美咲

一冊の絵本を手掛かりとして、太平洋戦争末期に、フィリピン・ルソン島に住んでいた日本人女性、新美彰さんの歩みをたどる作品です。新美さんは、1945年8月にルソン島北部山岳地帯で一人娘を餓死で失い、敗戦後にひとり引き揚げてきました。民間人女性のルソン島での体験を伝え続ける新美さんは、もう戦争のことはいいでしょうといわれながら、生涯、語り部を続けました。何があったのか、何を、なぜ語り継ごうとしたのか。新美さんが残したものを辿っていくと、現在の長崎県佐世保にある釜墓地に行きつきました。戦争は終わっていないこと、自分たちに関わることだと、改めて気づかされる、4年にわたる調査の旅となりました。

曇天五輪

上智大学水島宏明ゼミE班

プロデューサー:村上真惟
ディレクター:村上真惟、大澤知世、合月もな

2021年夏、ここ東京で五輪大会が開催される。刻々と時間が迫る中で、大会ボランティアである私・村上真惟は様々な疑問を抱いていた。世界に蔓延する新型コロナウイルス。視聴者の不安を募る報道。辞退者が増えるボランティア。人手不足からか募集がかかるアルバイト。全体をまとめる大会関係者。ボランティアに応募した当時の明るい希望のようなものはいつの間にか崩れ落ち、現実は程遠いものになっていた。何が元凶で何が正解なのか。若者が見た東京五輪は先の見えない真っ暗な曇天だった。

関西学院大学混声合唱団エゴラド
~コロナ禍の軌跡2020~

関西学院大学総合政策学部
メディア情報学科

プロデューサー:杉本星
ディレクター:今村祐望

兵庫県西宮市にある関西学院大学を拠点とする「関西学院大学文化総部混声合唱団エゴラド」に、2ヶ月間密着したドキュメンタリー。新型コロナウイルスの影響を受けながらも、12月末に行われる定期演奏会の開催に向けて、団員たちは様々な工夫を行った。対面練習や演奏会実現のため、大学側とガイドラインについて協議を重ねた。また、クラスターを発生させないよう、感染対策に努めた。さらに前を向いて観客に声を届けるために、独自のマスク制作を行った。しかしこれほど努力しても、大学側からの開催許可の取得は難航した。試行錯誤しながらも懸命に励む合唱団の軌跡を追った作品。

東大で一番安い寮
~コロナと夢と共同生活~

東京大学大学院学際情報学府
藤原寛奈

プロデューサー:日笠昭彦
ディレクター:藤原寛奈

東京大学が運営する宿舎の中で、最も費用が安い宿舎の1つである豊島国際学生宿舎A棟(通称、豊島寮A棟)に住む私が、コロナ禍での寮の様子や、住んでいる女子学生のインタビューを収めた作品。コロナの感染拡大が懸念される2020年の年末から2021年年始の様子を主に撮影した。コロナ禍でも帰省せずに、寮に残っていた友人や先輩に、寮での共同生活や夢、入寮した理由などを聞いた。また、共有スペースや居室の紹介、コモン掃除の様子、2021年元旦にコロナの感染者が出たことによる共同浴場の閉鎖など、コロナ禍で翻弄されつつも、共同生活を楽しみ、夢を追いかけている学生の生活を収めた。



高校生(中学生)部門

靴下を折りなさい

加古川市立陵南中学校

プロデューサー:森本紀歩
ディレクター:村上葵

「靴下を折りなさい」
これは本校で行われる服装指導のひとつです。
なぜか女子だけ「靴下を三つ折りにする」という校則があります。この校則をみんなはどう思うか改めて調査してみることにしました。
緊急事態宣言などで取材に行くことが難しい中、オンラインを活用して大学の先生や国会議員にも話を伺うことができました。
学校の校則と私達中学生はどう向き合っていけばいいのか、考えるきっかけとなりました。

境界線

兵庫県立淡路三原高等学校

プロデューサー:原眸
ディレクター:岡崎野の花、東良兼信

2020年4月の休校以来、普通の学校生活が送れなくなった中での、本校の先生や生徒の取り組みを、ドキュメンタリーとして構成しました。リモート授業の苦労や、保護者向けのライブ配信などの新しい取り組みで、学校生活を前へ進める取り組みを紹介しました。

コロナの時代
-いま私たちにできること-

桜丘中学高等学校

プロデューサー:松田俊弥
ディレクター:西真乙

私たちの学校は殆どの生徒が寮生活を行っていることもあり、先輩後輩同士の絆が家族のように強く、毎年、卒業式には後輩も必ず参加しています。しかし、新型コロナウイルスが流行した2020年から、卒業式に後輩が参加できなくなり、卒業生に想いを伝えることができなくなりました。一年たった今、「卒業生に何かできる事は無いか」という強い思いから放送部と生徒会で何度も話し合いを行い、『卒業生サプライズ企画』を立ち上げました。その企画は、全校生徒で作る花紙アートや卒業式のライブ配信等です。この作品は、この企画を何とか成功させるために動いた放送部と生徒会を追った番組です。

模擬原爆 島田空襲の真実
~もうひとつの原爆 パンプキン爆弾の真相に迫る~

静岡県立島田工業高等学校

プロデューサー/ディレクター:伊藤心希

島田空襲 1945年7月26日午前8時34分、米軍B29爆撃機が静岡県島田市上空に重さ1万ポンド(約4.5トン)の巨大爆弾を投下した。市民33人が即死する大惨事に見舞われた。この爆弾は戦後の調査で長崎型原爆の模擬爆弾と分かった。なぜこの爆弾が島田に落とされたのか。この取材で新たな被爆者も判明した。模擬爆弾パンプキンの真相に迫るドキュメンタリー。

飛び込め!ファーストペンギン

エクセラン高等学校

プロデューサー:青柳直茂
ディレクター:青柳直茂、有賀うてな

私たち放送部は、今年2月に誕生した新しい部活動です。新しい部活動が本校に誕生するのは、なんと10年ぶりのこと。始まりは現在高校3年生の有賀うてなさんからでした。有賀さんを中心に、我々放送部の立ち上がり経緯をドキュメンタリーにしました。

Re:

兵庫県立小野高等学校

プロデューサー:楠ゆうな
ディレクター:加藤優喜、三浦優衣、寺田彩乃

年末の大掃除、小野高校では持ち主を失った忘れ物たちが大量に捨てられます。その中でも多いのは、ビニール傘。「可愛くない」「壊れやすい」と生徒に不評の中そのイメージを変えることはできるのでしょうか?
そこで、捨てられたビニール傘を加工して販売する「PLASTYCITY」さんに取材をすることに。それを元に、廃棄直前の傘を引き取り私たちで加工し展示会を開催。再利用で生まれ変わった傘たちを生徒のみんなに受け入れてもらえるよう、頑張ります。



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